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高校生クイズは昔も簡単な問題が出ていたよ

   

高校生クイズ選手権の歴史修正主義

高校生クイズ選手権について「問題が簡単になった」「運の要素が強くなった」などの苦情が多数ネット上に出ています。そして「昔の方が良かった」と、かつての「知力の甲子園」を懐かしむ意見を多く見掛けます。

しかし、このような古き良き高校生クイズのイメージはあまり正確ではありません。確かに数年前までの高校生クイズ選手権は知力を問う問題が多数出題されていましたが、その更に昔、20年前の高校生クイズでは今と同じような簡単な問題やゲーム性が高い問題が出題されています。

21年前の高校生クイズ

今から21年前の第16回高等学校クイズ選手権(1996年)・東北予選を振り返ってみましょう。この東北予選ではYes・Noクイズの第1問で次の問題が出題されました。

あきたこまちのはえぬきと 夢ごこちでめぐりあい
日本橋のほほえみに コロピカリとひとめぼれ
こいごころはあかね空の きらら397
おとめごころの一本〆を こころまち

この手紙、助詞以外はすべて実在するお米の名前である。

第1問の手紙(恋文)は会場受付時に全員に配られていました。今でこそスマホで調べればすぐ答えが見つかりそうですが、当時はまだ携帯電話のiモードも始まっていませんでした。お酒の醸造に使われるお米などメジャーではない品種も含まれています。私達のチームはほとんど勘でYesを選んで正解しました。

その後も「郵便大包は実在する」「生糸の生産高世界1位は中国である」「電子レンジを発明したのは日本である」などのYes・No問題をほぼ運で突破することができました。筆記試験と準決勝の早押しクイズを突破した後、決勝戦会場に田んぼへと移動しました。

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(日本テレビ第16回高等学校クイズ選手権・東北予選決勝。左側が相馬高校、右側がいわき光洋高校)

決勝戦は田んぼでの早押しクイズでした。稲の苗のようなブロックを落とさないように持って行き、筒の中に最初に入れた人が回答権があります。知力よりもバランス感覚が要求されるかなりゲーム性が高い戦いです。決勝戦が終わった後はみんなでバスでホテルまで移動し、テレビ局が貸し切った浴場で泥を洗い流しました。負けたいわき光洋高校のチームとも仲良くなりました。

全国大会の問題は簡単な問題が多かった

第16回クイズ選手権の全国大会は川崎のスタジオで行われました。交通費はテレビ局側が持ってくれたのですが、東京の集合場所に着いたらすぐにバスで川崎のスタジオに移動することになり、休む間もなく早押しクイズが始まりました。

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右側が私です。チームリーダーが「カヤック」と答えてハズしました。正解はラフティング。

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私が「カー・パンクチュアル」と答えてハズレになりました。正解は「パンクチュア」。

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この問題は私が「求心力」と答えて正解になりました。

今にして思うと(ハズれた問題もありますが)当時の全国大会の早押しクイズは現在の高校生クイズよりはかなり簡単な問題が多かったなと思います。有名進学校じゃなくても答えられそうな問題という配慮がなされていてゲーム性が高かったように思います。当時はネットがまだ普及していなかったのも影響が大きいでしょう。現代だとググればすぐ知ることができそうな問題も多数出題されていました。

しかし、ゲーム性の高さが逆に仇となる場合もあります。次のステージに進んだ私達を待ち受けていたのは、俳句の積み立てクイズでした。

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俳句は簡単なものだったのですぐわかったのですが、積み木が何度も崩れて完成せず…。そこで私達のチームは敗退しました。

敗者チームだけの宿があってそこにみんなで泊まりました。吉祥女子高校の女の子が可愛かったのを憶えています。テレビ局が東京で遊ぶお金を少し渡してくれました。

宿命の対決とゲーム性

1997年の第17回大会にも出場したのですが、そこでクイズを勝ち進んでいったら見覚えのあるチームがいました。第16回大会の東北予選決勝で戦ったいわき光洋高校のチームでした。私達は東北予選で敗れ、このいわき光洋高校のチームが福島県代表として全国大会に出場。確か準決勝くらいまで勝ち進む活躍だったように憶えています。

相馬高校もいわき光洋高校も有名な進学校というわけではないですが、ゲーム性の高い大会であったから勝ち進めたように思います。宇宙の広さを計算したり、ヒエログリフや漢文を読んでいくような知力の甲子園だと勝ち進むことは難しかったでしょう。

原点回帰と「クイズって何だろう?」

こうして見てみると、高校生クイズ選手権も昔は知力よりもゲーム性が問われる戦いであったことがイメージできるかと思います。「知力の甲子園」になっていった背景にはネットの普及も大きかったのではと思います。ググってすぐわかるような知識は誰もが得られる時代になったので、すぐには手に入らないような高度な専門知識や思考力を競う大会になっていったのではないでしょうか。

しかし、知の甲子園化すると有名進学校が有利となり、番狂わせが起きにくい番組となります。そのようなマンネリ化を打破するために原点回帰が目指されたのかなと思いました(明と暗がありますが)。

この問題は「クイズって何だろう?」という根源的な疑問に行き着くように思います。知力のみを競うのであれば、それは数学オリンピックや試験などでも実現することができます。しかしクイズは知力のみを推し量るものではありません。出題する側も回答する側も、それを見ている側も、みんなが楽しめるものでなくてはクイズではないと思います。また、誰もが挑戦できる開かれた大会でなければクイズ大会ではないでしょう。

「高度な問題が減り、知力の甲子園ではなくなって高校生クイズがつまらなくなった」という意見もよくわかりますが、有名進学校が必ず勝利するクイズ大会が「クイズ」と呼べるものなのかは熟慮が必要とされるように思います。

アメリカ横断ウルトラクイズ 虎の巻

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